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壊れた世界が綴る世界

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今日はある本の紹介をしてみたいと思います。

本のタイトルは「全盲先生、泣いて笑っていっぱい生きる」というのですが、国語教師をしていた新井淑則(よしのり)さんは28歳の時に網膜剥離を発症し、34歳で全盲になってしまうのですが、そこからたくさんの人達に支えられ、様々な苦難を乗り越え、再び教壇に立つ実話が綴られた本です。

全盲先生こと新井先生は、ある日小さい虫がいっぱい飛んでいるように視界が見えて、次の日には右目が見えなくなってしまったそうです、病院へ行くと網膜剥離(網膜が全て剥がれてしまうと失明する病気)と診断されてしまい、翌日には緊急手術をしたものの、視力は極端に落ち、物も歪んで見えたりしたそうです、右目は回復することなく失明になり、6年後に左目も失明し、新井先生は全盲となってしまいました。

網膜剥離は誰にでも起こり得る病気なのだと思いますが、自分もなってしまったら怖いなと思いました。

新井先生は全盲となり、絶望のあまり自殺を考えてしまいましたが、目が不自由なため歩行も困難で自殺も思うようにできなかったようです、新井先生の両親も息子の失明に苦しみ心中を考えるのですが、それをいつも叱咤激励したのが妻の真弓さんだったそうです。

真弓さんも心中を口にしてしまうまでに追い詰められたことはあったようですが、3人の幼い子供達と絶望に苦しむ旦那とその両親がいて、本当によく頑張って叱咤激励してこられたなと感心しました。

あとがきで著者の新井先生は、妻の真弓夫人を「何度か、もうぼくたちはだめかもしれないと思った時、それでも決して逃げずに、持ち前の元気と明るさでぼくの暗闇を照らし続けてくれた妻の支えがなければ、今のぼくはありません」と評しておりますが良い表現だと思いました。

41Pに視力を失っていく過程で「仕事ができない焦りと悔しさ、将来への不安にいらだって、自室の壁を、階段の壁を、こぶしで殴り、何個も穴を空けた」と書いてありますが、そこから新井先生の絶望の感情がリアルに伝わってきました。

その後、新井先生のもとには宮城道雄という視覚障害を持ちながらも普通高校で教師をしている方から「視力を失ってもやる気さえあれば教師に戻れる」と電話がありその方から視力を失っても教師を続ける方法を細やかに教わったのです。

本の巻頭では長瀞中学校のたくさんの可愛い子供達と、様々な苦難を乗り越えた新井先生、優しそうな顔付きをした盲導犬のマーリンの写真が何枚かあり、それに心を癒されました。

視覚障害者は、全国で約31万人おり、全盲の方は10万人いるそうですが、外を歩いてても白杖を持って歩いたり、盲導犬と一緒に歩いてる人を見た記憶は私には特にありません。

やはり周囲に変な目で見られないかなという不安があったり全盲で街を歩くのが怖い人が大勢いるのだと思います。

歩道を自転車で走る人は多いし、勇気を出して外を歩いても何かしら怖い思いをして塞ぎ込みそれで引きこもってしまう方が多いのかなと思います。

外を歩いても「きれいな花火だ」「きれいな虹だ」そんな視力を要することで得られる光の言葉が、全盲の人には耐え難い孤独や苦痛を与えかねないなとも考えました。

飲食店へ寄っても隣の席の人達がドラマや映画の話で盛り上がってたら気分が沈んでしまうでしょうね。

新井先生は全盲となり、そこから努力して普通に社会生活をするまでに這い上がり、本を通じて全盲でもちゃんと生きていけることを伝えてくれました、みんなに全盲となる可能性はあるのだし、もっとノーマライゼーションが広まり全盲の人にもちゃんと住みやすい社会にこれからしていくべきですね。

ノーマライゼーション(障がい者と健常者とがお互い特別に区分されることなく、社会生活をともにするのが正常であり、本来の望ましい姿であるとする考え方)20Pより


全盲先生、泣いて笑っていっぱい生きる
出版社:マガジンハウス
定価:1500円+税


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